2018G7サミット閉幕後、安倍首相会見内容文字起こし

司会「それでは只今より安倍内閣総理大臣によります記者会見を始めさせていただきます。始めに、安倍総理からご発言がございます。この発言を終えた後ですね、皆様方から応答質疑、質疑応答をいただきます。それでは安倍総理お願いいたします。」


総理「先ほど本年のG7サミットが閉幕いたしました。まず冒頭、カナダ国民の皆様の心温まる歓待に対して心から感謝申し上げたいと思います。そして議長を務めたトルドー首相のリーダーシップにも敬意を表します。
近年、世界経済はますます国境がなくなり、相互依存を深めています。こうした、急速な変化に対する不安や、不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国との間で鋭い利害対立を生じさせる、これはG7の内部においても例外ではありません。本年のサミットでは、貿易をめぐって、激しい意見のやり取りがありました。貿易制限措置の応酬は、どの国の利益ともならない。いかなる措置も、WTOのルールにしたがって、行われるべきであります。世界の貿易や、投資を、拡大するためには、自由で公正なルールを打ち立て、それを進化させていくことが必要です。人の技術や、ノウハウを、盗むような行為が横行すれば、持続的な経済発展など望むべくもありません。こうした大きな価値観と、世界が歩むべき方向性を共有しながら、これまで世界経済の成長を力強く牽引してきた、それが私たちG7であります。だからこそ安心して互いに本音をぶつけ合うことができる。G7サミットは、これまでも、そういう場でありました。
今回のサミットは、とりわけ見解が異なる局面が多く、難航しましたが、そうした中にあっても、補助金などによる、過剰生産の問題を見過ごすことはできない。市場を歪める不公正な貿易・投資慣行に対して、G7として断固対抗していくとの認識で一致いたしました。そして自由で公正なルールに基づく貿易システムを発展させるため、努力していくことをG7として確認しました。会場の外で、夜に、そして朝に、首脳だけで集まり、まさに膝を詰めて、まさに膝詰めで直接本音をぶつけ合い、こうした合意に至ることができた、首脳宣言として発出できることは、大きな意義があると考えています。TPP、欧州とのEPA、日本は引き続き、自由貿易の旗手として、自由で公正なルールに基づくマーケットを世界へと広げていく、そのリーダーシップを力強く発揮していく決意であります。同時に、経済成長で得られた果実を、教育や福祉に分配することを通じて、しっかりと国民全体に広く均霑していく、さらには環境との調和を図るために投資する、そのことによって次なる経済成長が可能となります。持続的な成長を実現するため、そうした好循環を、作り上げていく取り組みが必要です。私からそのことを訴え、他のリーダーたちから賛同を得ることができました。現在、世界経済は全体として堅調に推移しているものの、一部の新興国においては、通貨下落など、経済に変調も見られます。市場の不安を払しょくするためにも、私たちG7が必要に応じて行動するとの意識をもって、市場動向を注視していく。G7が協調して、世界経済の安定に役割を果たしていくべきであります。こうした議論の中で、北朝鮮問題では、全員の意見が一致しました。様々な地政学的リスクへの対応も、G7の重要な役割です。特に、北東アジアの平和と安定は、世界経済の安定的な成長にとって、極めて重要な役割を果たすものであります。この問題については、サミットだけでなく、イギリスのメイ首相や、ドイツのメルケル首相との個別の首脳会談においても、私から、丁寧に説明を行いました。そして国際社会が一致して、これまでと何ら変わることなく、安保理決議の完全な履行を求めていく、そのことをG7の総意として改めて合意しました。北朝鮮には豊富な資源があり、勤勉な労働力があります。北朝鮮が正しい道を歩むのであれば、明るい未来を描くことも可能です。核・ミサイル問題そして何よりも重要な拉致問題が解決すれば、我が国も平壌宣言に基づき、不幸な過去を清算して、国交を正常化し、経済協力を行う用意があります。G7のリーダーたちと緊密に連携しながら、北東アジアに真の平和が実現するよう、日本も力を尽くしていく決意を表明しました。直前に迫った米朝首脳会談の成功を、強く、期待いたします。歴史的な会談に臨むトランプ大統領をG7として支持し、その交渉姿勢を支えていく、その点で私たちG7は完全に一致することができました。自由、民主主義、人権、法の支配、私たちはこうした基本的な価値で結ばれた国々であります。そして私たちは、世界の平和と繁栄に、大きな役割を果たしていく、その強い責任感を共有しています。経済、安全保障、世界が直面する課題に、しっかり、処方箋を示していく。そのためにはロシアの建設的な関与を求めていくことも、必要です。そのためには、私たちもロシアも、双方がその環境整備に向けた努力をしていかなければならない。その点についても今回、首脳たちと、議論をいたしました。様々な意見の相違はあろうとも、私たちが率直な議論を通じて、一致結束し、世界の平和と繁栄をリードしていく、その変わらぬ決意を、初夏の美しいケベック、シャルルボアの地で今回、改めて世界に示すことができたと考えています。私からは以上であります。」


司会「それでは質問いただきますので、最初に日本側の記者の方から、あの、お願いいたします。あのご質問がある方、挙手をいただきまして、わたくし指名いたしますので、マイクに進み出まして、お名前と所属を明らかにされたうえでお願いします。はい、どうぞ。」


記者「TBSテレビのイザと申します。よろしくお願いします。今回のG7サミットでは、アメリカが課した鉄鋼などの輸入制限を巡り、アメリカとアメリカ以外の対立が見られましたけれども、最終的には、宣言をまとめることができました。安倍総理アメリカと、アメリカ以外の国の橋渡しを、どのように行ったのでしょうか。また、宣言がまとまったことで、G7の結束を保ちましたけれども、トランプ大統領が輸入制限措置を撤回しないなど、現状は変わっていません。こうした状況を鑑みて、G7サミットの意義について、改めてお聞かせください。」


総理「先ほども申し上げましたが、経済のグローバル化が急速に進む中において、変化に対する不安や、不満が、時に保護主義への誘惑を生み出し、国と国とのあいだで激しい対立を生じさせる、これは、G7においてもですね、例外ではありません。しかし、時計の針を逆戻りさせてはならない。G7が貿易制限措置の応酬をすれば、どの国の利益ともならない。ありてはなくて。市場を歪める不公正な貿易、投資慣行を続ける国々を利するだけである。首脳間では、様々な意見がありました。時には相当激しいやり取りもありましたし、今までの私の、今回のG7、7回目の出席でありますが、えー、歓迎行事等々、食事も終わってですね、かなり遅い時間になって、首脳同士が再び集まってですね、首脳だけで、膝詰めで議論をする、交渉し、そして次の日の朝もですね、朝から首脳同士が議論するという場面はなかった、今回のようなことはなかった、と記憶をしておりますが、えー、わたくしはですね、えー、まその、時、にも、様々な議論があったんですが、国際社会が作り上げてきた、自由で公正なルールをしっかりと堅持をし、そして課題があるならばむしろ、こうしたルールを進化させることで解決すべきであることを強調し、すべての国から理解を得ることができました。G7サミットは個別の紛争や利害調整を行う場ではありませんが、他方で、これまでG7がリードしてきた、自由で公正な、ルールに基づく貿易システムを、発展させる努力をしていくことで、今回、G7が合意に至った、合意することができた意義は大変わたくしは大きいと思います。G7ていうのはまさに、首脳同士が集まって率直に意見交換をする場所、であります。相手がどういう考え方を持って主張をしているのかを理解しながら、同時にですね、私たちがお互いに世界経済をリードしていかなければいけない。今申し上げたような自由で公正なルールに基づく貿易システムを発展させるという、責任感を共有している、これをもう一度確認しあうこともできた、それがまさにG7の役割であろう、そして意義でもあろうと思います。世界経済の持続的な成長を今後も、ともに、リードする、G7の意志を示すことができたと思っています。」


記者「トランプ大統領北朝鮮との会談について色々な声明を発しています。間もなく北朝鮮のリーダーと会うことになります。色々な準備も進んでおります。トランプ大統領との会談ではどのようなアドバイス安倍総理から提供したんでしょうか。どのようにこの米朝首脳会談の成功の可能性についてお考えでしょうか。」


総理「わたくしはこのシャルルボア、カナダを訪問する前に、ワシントンを訪問しまして、トランプ大統領と首脳会談を行いました。その際、ほとんどの時間を費やして、北朝鮮の問題について、話をいたしました。北朝鮮に対して、北朝鮮によるすべての大量破壊兵器、あらゆる射程の弾道ミサイルおよび、関連施設のCVIDの実現が必要であること、そしてそのために北朝鮮に対し、関連安保理決議の完全な履行を求め、具体的な行動を引き出していくことにおいてですね、完全に一致をしたと、こう思っております。また、日本にとって極めて重要な問題である、拉致問題について、41年前、新潟の美しい港町から、13歳の少女が拉致をされた、彼女だけではなくてすべての拉致被害者の即時帰国を求めていかなければいけないわけでありますが、この問題の解決についてもですね、トランプ大統領は協力をしていくことを、協力していく、ということについて約束をしていただきましたし、米朝首脳会談で提議していく、ということについても力強く、約束をしていただきました。こうした首脳会談、歴史的な首脳会談に向けた、準備においても日米でしっかりと、共に準備を行い、そして基本方針については、私はしっかりとすり合わせることができたと思います。もちろん、北朝鮮をめぐる問題、なかなか解決できなかった問題でありますが、そう簡単なことではない、と思いますが、歴史的な米朝首脳会談が成功し、核・ミサイル問題、そして、拉致問題が前進することに期待をしておりますし、日本としても全面的に協力をしていきたい、支持をしていきたいと考えています。」


司会「はい、それでは第3問目をいただきます。予定された時間の関係で、3問目が最後になる可能性もありますけれども、お許しいただきたいと思います。それではご質問希望される方、じゃ、日本のメディアの方からまいります。」



記者「産経新聞の滝田といいます。まさにいま話されたように、来週に米朝首脳会談が行われるんですけれども、今回G7としてですね、北朝鮮の非核化と、拉致被害者の早期帰国、解決について完全な合意に至りました。総理としてですね、米朝首脳会談拉致被害者の帰国に道を開くことになるという感触はどれほどあるんでしょうか。また日米首脳会談の後の共同記者会見でですね、日朝首脳会談について意欲を示されたと私たちは受け止めたんですけども、今後具体的な日朝協議への道筋をどのように描かれているんでしょうか。」


総理「トランプ大統領との会談においてはこの拉致問題についても相当時間を掛けてお話をさせていただきました。拉致問題の経緯、あるいは被害者のご家族の皆様がいかに帰国を切望しているか、もうあまり時間も残されていない、ということも含めて、お話をさせていただいたわけであります。そして早期解決に向けて理解と協力を、このG7におきましてもですね、G7におきましてもこの問題について理解と協力を呼びかけ、多くの国々から、すべての国々から理解と支持を得ることができたわけでございますが、トランプ大統領からもですね、共同記者会見においても、この問題は必ず提議する、と力強い発言がありました。えー、そしてですね、この問題についてはですね、北朝鮮問題への対応については、まさに米国を始めとするG7、各国や国際社会と引き続き連携をしていきますが、拉致問題については最終的に、我が国自身が北朝鮮と直接協議し、そして解決をしていく決意であります。日朝首脳会談については、これを行う以上は北朝鮮の核・ミサイル、そして何よりも重要な拉致問題の解決につながることが極めて重要であります。問題解決につながる形で首脳会談が実現されればよいと考えています。この会談においてですね、まさにトランプ大統領からこの拉致問題が提議をされ、そして最終的には今申し上げましたようにですね、最終的には日本と北朝鮮との間で直接協議をし、解決する、そういう決意でありますが、それに向かってですね、この米朝首脳会談が大きな成果を上げることを強く期待をしております。」


記者「サラ・ムニョスと申します。ウォールストリートジャーナルです。最近のアメリカによる保護主義の動き、それからまた自動車関税の動きを見ておりますと、アメリカの自由貿易に対する脅威に対して日米でどのように協力をしていくことができるでしょうか。」(※これは同時通訳された発言内容です。実際の記者の発言とはかなり食い違っているようですが、音源から正確な発言内容を確認するのは困難です。)


総理「まず中国について言えばですね、中国について言えば、日中関係については近年、困難な局面が続いてまいりましたが、先月、李克強首相が中国の国民総理として8年ぶりに日本を正式訪問をいたしました。日中関係の抜本的な改善に向け、重要な一歩を踏み出すことができたと思います。日中両国は、アジアそして世界の平和と繁栄に欠くことのできない、大きな責任を共有しています。両国がその責任をしっかりと果たしていくことへのアジア諸国や国際社会の期待を強く感じています。私の年内の訪中、そしてその後の習近平国家主席の初訪日、国家主席としての初訪日。首脳レベルの往来を積み重ねあらゆる分野の交流、協力を推し進め、日中関係を新たな段階に押し上げていきたいと思っています。そして自由貿易の問題については、日本は、国際ルールに基づく自由で開かれた、公正な経済秩序の構築を一貫して重視しています。いかなる貿易上の措置も、WTO協定と整合的であるべきであり、対抗措置の応酬は誰の利益にもならないと考えています。同時に、知的財産の保護を始め、国際ルールの順守も重要な課題であり、我が国としては、以上の立場に基づいて、自由貿易体制の維持と推進に引き続き、積極的な役割を果たしていきたいと思います。日中関係とですね、また日米関係を、これは、単純に比較するわ(ここまで)