2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

大江健三郎/「雨の木」を聴く女たち

なんとはなしに「これだけは読んで」と言われたような気がしていたので購入して目下読書中の大江健三郎自薦短編。ブログとツイッターの更新を再開したことだし、うまい具合に語りたくなるような題材が毎日転がっているわけでもないし、と勢い全作書評してた…

大江健三郎/頭のいい「雨の木」

十六年、という月日について語ることにまだ軽い戸惑いを覚えるのは、私が口先では自分をおっさんだの中年だのと揶揄してみせるわりに、本心のどこかに自分の年齢に納得し切れない部分を残しているからなのだろう。 「空の怪物アグイー」から十六年。同一人物…

大江健三郎/空の怪物アグイー

私の友人には風変わりな男がいて、そいつの言うことはいつだってまるっきり嘘のように聞こえる。案外本当のことを言ったりもするのだけど、本人は本当のことを心底つまらないと思っているらしく、本当のことを口にした自分に落胆している様子を隠そうともし…

アルベール・カミュ/シーシュポスの神話

「真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺ということだ。」 という非常に有名な書き出しから始まるこの論考を初めて読んだのは学生時代のことだったろうか。 もう内容もあまり覚えていないけれど、と本人は思っていても、数ページめくればすぐに似た…

大江健三郎/セヴンティーン

さて、続いて「セヴンティーン」。わたしの思い込みから始めてしまうと、社会党委員長の浅沼稲次郎刺殺事件の犯人山口二矢をモデルに描いた小説で、実際には右翼と三島由紀夫をぶん殴りにいった話なんだとばっかり思ってました。でもまあ、読んでみて調べて…

大江健三郎/不意の唖

【読書メモ】「不意の唖」読了。「セヴンティーン」読書中。大江健三郎が完全にパンクでぼーぜん。うはー、大江健三郎がえらいひとだと思ってる人は特に「セヴンティーン」読んだほうがいいぞー。これはちょっと洒落にならないぞー。ちょっといろいろ原点す…

大江健三郎/人間の羊

【読書メモ】「人間の羊」読了。あまりにも暗い部分を引っ掻いてくる話なので、何から書いていいのかすらよく分かりません。これは確かクンデラがどこかで褒めていた話だと思います。外国人兵、という表記が賞賛の的になっていました。日本人大江健三郎が書…

大江健三郎/飼育

きのう二日分書いてしまったのでこれが今日の分、ということで。 【読書メモ】「飼育」読了。読み終えてから二時間近く経ちましたが、まだ後頭部の奥にざわめきが残っています。うん、いいねえ。腹立つよ。大江健三郎の「村=共同体=国家=宇宙」ものの原点…

サルトル・エロストラート・実存主義

二度寝めざして朝もはよから飲酒中。しかも酔っ払いのたわ言を書き散らすべくついっぷるに戻ってきました。昨日書き終えてから考えたこととさっき調べたことを中心に。 私は大江健三郎のファンなので、まああれこれ余計なことを考えずにたらたら書いていけば…

大江健三郎/奇妙な仕事/死者の奢り/他人の足

【読書メモ】大江健三郎自薦短篇を読んでいます。「奇妙な仕事」では犬殺しを、「死者の奢り」では死体運びのアルバイトを描いていて、まず死に取り憑かれることから大江健三郎は小説家としての仕事を始めていることがよく分かります。 >「僕は希望を持って…

谷崎潤一郎/細雪

【読書メモ】はい、それでは「細雪」の話を始めましょうか。ざっとあらすじを書いておくと、蒔岡家には鶴子、幸子、雪子、妙子の四姉妹があり、豪奢を好んだ父はすでに他界。長女鶴子は婿養子に辰雄を迎え本家を、次女幸子は貞之助を迎え分家を成している。…

さよならジッド

さて、翌日。 「一粒の〜」を読んでいる最中は堀口大學の訳にも問題があるのかと思っていました。堀口訳のランボー、と言えば先行世代で完全に神話化された存在でしたから、それも結局虚構に過ぎなかったのか、と。今ではそんな神話になった人々のことすら知…

更新再開。谷崎からジッドへ。

唐突ですが、またネット上であれこれと書き散らすことにしました。 自分でも「どこまで続くんかなあ」と半信半疑ですが、ま、やってみようと思います。しばらーく前にも似たような決意をしてたりします……とほ。 まずはツイッターでの独り言からどうぞ。 とり…