2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

喫茶店で本を読んでいると

七月三十日。 授業を終え、職場近くのドトールに入る。 アイスコーヒーを買って席に着き、さあ読むぞと『困難な自由』を鞄から取り出す。 女性性について語られているところを、頭からぷすぷすと煙を出しながら(口からはタバコの煙を吐き出しながら)読んで…

「はい、ごろーん。」

妻とは知り合ってから十年ほど経つ。 結婚するまでの長い期間には、それはもう色々なことがあった。 ほとんど喧嘩はしないのだが、それ以外の、ごく普通のカップルの間に起こるような大体の出来事はあったものと思っていただきたい。 なぜだか最近、そのうち…

本を読む日

言葉が出てこない。 「筆舌に尽くしがたい」という表現は、私にとって「敗北宣言」である。 だから、絶対に使うまいと心に決めていた。 だが、今回この本を語るにあたって、私はこれ以外の言葉を思いつかない。 『現代思想のパフォーマンス』。 内田先生は、…

よくもこれだけ悩めるものだ

「早期教育の必要性」と「自然過程のイデオロギーによる搾取」。 「正読」と「誤読」。 「学問」と「芸術」。 「コスモス」と「カオス」。 「時間給労働」と「オーバーアチーブメント」。 「明日死ぬかもしれない」と「明日も生きているだろう」。 「意味」…

テキストに住む魔物

中野重治は動物園が好きではなかった。けものの声は騒がしく、そこにはいつもひどい臭いが漂っていた。 けれど、彼はそこに度々通うことになる。人付き合いのため、それから──────山猫を見るため。 「山猫めは全身まっ黒の毛に包まれて金いろの目をしていた…

読み終わりました

大きな男の投げた槍は 眉間から後頭部までを貫いて 堆積した時間を串刺しにする 詩人の心を持ったまま 生き抜くということ 動かぬ心 感じる心 一人の人間のなかに 宿りうる剄さの 極北