2008-01-01から1年間の記事一覧

現場編 8(続き)

今度はでかいトレーラーだ。降りてきたドライバーは若いアンちゃん。折りたたんだ白いタオルを額に巻いて、一見チーマー風(懐かしいですね)にも見える。 長いコンテナを、掘り進むように荷降ろししていく。コンテナいっぱいに詰め込んである返本のダンボー…

現場編 8

八日目 埼玉県某市作業内容:返本廃棄 前回夜勤で入るはずだった仕事を、今度は日勤で紹介された。不労所得をもらってしまった分くらいは、働いて返したい。そんな気持ちももちろんあったのだけれど、それより何より、僕は売れなかった本の末路というものを…

現場編 7

七日目 埼玉県某市作業内容:書籍の箱詰め そうだ、思い出した。 前回の現場からバスで帰る途中、派遣会社から次回の仕事の連絡が入ったんだ。 「明日のお仕事なんですが……深夜勤務をお願いできないでしょうか?」 「夜勤ですか……ええと、返答の前に、どちら…

現場編 6

六日目 埼玉県某市 倉庫作業内容:検品 おなじみの倉庫へ。四度目にして、派遣会社から、駅前で一旦合流してから集団で現場に向かってください、という指導を受けなくなる。現場に一人で直行しても構わないのだそうだ。遅刻せず、道順に不安さえなければ、仕…

抑圧 VS 抑圧

最近、『読んでいない本について堂々と語る方法』という本が出版されたようです。実を言うと、僕はこのごろ、マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』について、読んだことのない本の書評というスタイルで書いてみようかと思…

古典的な事件について

元厚生次官の連続殺人事件が巷を賑わしている。 犯人が自首し動機が明らかになるにつれて、僕はそのあまりにも明確な構図にめまいを覚えた。どうして、これほど典型的な事件が起こってしまうのか。関心はすぐさまメタに移っていいはずだった。 ところが、だ…

てすと

ケータイから日記を送れるか試してみました。

開いてますよ〜

「白い扉、あるいは開いた扉」 1905年 コペンハーゲン、デーヴィズ・コレクション B309 Photo (c) Pernille Klemp NBonlineからの孫引きでいっ!

わけあって

いきなり世界を大肯定してしまいました。 あ、でも別に何かしらの真理を悟ったとかではないので安心してください。 ……こういうふうに書くと、すごく語弊がありますね(汗 だいじょーぶです。 もりのひとはだいじょーぶです。 書けます。 生活はカツカツであ…

現場編 5

五日目 埼玉県某市 倉庫作業内容:ピッキング 一回目、二回目に訪れた倉庫での仕事をまた紹介された。ただ、倉庫内での作業場所と、作業内容と、管轄する会社の名前が違う。おそらくは一社の所有物件である土地と、その上に建てられた巨大な倉庫。その内部で…

うちの母(こ)天才

晩ご飯は揚げ物揃いであった。 イカフライにエビフライ、そこにミルカツを加えてのフライ三羽烏である。 思えば、昼に昨晩の残りの焼きそばを食べている最中から、晩のおかずについての相談を受けていた。だが献立について聞かれるたび、私は同じことしか答…

現場編 4

四日目 埼玉県某市 物流センター作業内容:ピッキング 朝。駅前の集合場所に見慣れた顔がある。初回の仕事で一緒になった人だ。あ、どもども。その後いかがですか。あ、今回で四回目。そうですか、いやあ、僕とちょうど同じですね。 「で、どうですかその後…

現代の若者より(30ですけど)

10月21日の内田先生のブログには、二つの問いがある。 それはタイトルにもある「若者は連帯できるのか?」、そして、「自分の『自分らしさ』を構成するもののほとんどが『誰かと共有されているもの』である、という矛盾を、若者たちはいかに糊塗している…

現場編 3

三日目 埼玉県某市 倉庫作業内容:ふとんの棚出し もしかして、ずっと同じ会社の倉庫で働くことになるのかな、と思っていたら、三度目にして別の市にある現場を紹介された。名前しか知らない駅から、バスに乗って向かう現場だ。昔四年くらい住み、また今住ん…

つながる

芥正彦、というひとがいるらしい。 ふと気が向いて、ウィキペディアの「芥正彦」の項を見てみる。 「三島由紀夫との公開討論会に(中略)参加」とある。 三島と全共闘学生の討論会……あれ、もしかしてyoutubeで観たアレのことか?面白いんだよな〜、しかもビ…

現場編 2

二日目 埼玉県某市 倉庫作業内容:ドラッグストア商品の仕分け 前回と同じ会社の、別倉庫での作業。同じ駅で降りて同じバスに乗り、同じ停留所で降りたものの、そこから先の道をまったく覚えていない。子どもの頃から、この性格だけは直らない。人に付いてい…

現場編 1

一日目 埼玉県某市 倉庫作業内容:アパレル商品の検品 初仕事。駅前の指定場所で他のメンバーと合流し、バス停に向かう。普通にちょっとカワイイ女の子がいたりして、意外な印象。作業着を着ているだけのサラリーマンぽい人も多い。けれど中には「いかにも」…

ある労働教徒の告白・登録編

金をば早や使い果てつ。嗜好品なき生活はいと静かにして、余暇の時間の緩やかさも徒なり。 とゆー感じのパロディは、僕より上手なお友達がいるのでやりません。 さて、ついにワタクシも額に汗して働く勤労青年へと変貌いたしました。「もうあなたはさ、何で…

約束

一方的に守られるばかりの約束は、とても情けなくて、悲しいです。

猫の多い町に住んでいる。水を入れたペットボトルはあまり見かけない。いい町なのだと思う。 ほらそこにも、毛繕いをしている猫がいる。 「公道の真ん中で大股を開き性器周辺を嘗め回しているケダモノが一匹。人の視線に怖じる気配は見えない。」 勝手なナレ…

今更オリンピックの話

かつてないほど熱心に観たオリンピックでした。 数々の爆笑シーンが、目に焼きついて離れません。 ウサイン・ボルトの奇妙な踊り、男子柔道100キロ超級石井彗選手のインタビュー「日本に帰ったらまず何をしたいですか?」 「遊びたいっす!! ……い、いや…

沈黙について

日参している『ほぼ日刊イトイ新聞』というサイトで、最近「沈黙」ということが頻繁に語られている。吉本隆明が最近行った『芸術言語論』という講演のテーマが 「ことばの幹と根の部分は、沈黙です」 というものであったことに端を発しているらしい。 なんだ…

言文一致について

わたしたちは話すようには書かない。 わたしたちは書くようには話さない。 まずはそこから始める必要がある、と思った秋の入り口の日。

往復書簡

to キミ from もりのひと title: 真空のこと 文学の本質は真空、っていう表現、やっとピンときたよ。 アレのことですね。 シカトできてるんなら読まないほうがいいかもしんないけど、ピンときちゃったので書いときます。 まず言っておかなければいけないのは…

「たけおちゃんの話、長いからいい」

「権力」というものの正体が知りたくて材料を集めている。 「怒りっぽいのはカルシウムが足りないから、っていうのは迷信じゃないかもしれないんだよ。オレ、その話けっこう詳しいけど、知りたい?」 姪っ子は首を振りながらタイトルの言葉を答えた。 そうだ…

かつて日本を覆っていた暴力の影は

木造建築と布団寝に隠れているのではないかと、きしきしする足音を聞きながら愚考いたした次第です。 宜しくご高配下さいますよう、伏してお願い申し上げます。

被虐趣味

本日の内田先生のブログから、後半部分を自分用に書き換えてみた。 そこから話は逸脱して、次号の特集が「小説家になろう」だというので、「小説家になろうという話はもう止めませんか」という特集に変更することをご提案する。 現代の若者は「自分らしさ」…

「わたし」の次元を割る前に

内田先生のクリエイティブ・ライティング論について、ようやく少し理解を進めることができたのでメモしておく。 きっかけは、「休日にマンガを読む」というエントリの一文だった。るんちゃんオススメのマンガを次々と読破しながら、内田先生はこんな挑発的な…

裸?……違います

ある事に気づいて、気づいた瞬間だけは「アハん♪」と走り抜ける快感に全身が満たされるものの、次の瞬間には「うわー、ない。なんでオレこんな簡単なことに気づかずに生きてこられたんだ……」と世界が暗転することがある。毎日のようにある。朝日のようにある…

『お早よう』作戦の成功と失敗

居候生活というのも、案外気楽なものである。 何しろこちらは主婦ではないのだから、朝晩二食を準備して掃除洗濯怠りなく、夜は性労働に従事して……などという義務を課されることもない。近年のフェミニズムの潮流というのは実に有難いもので、主婦業を年棒換…