2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧
居候生活というのも、案外気楽なものである。 何しろこちらは主婦ではないのだから、朝晩二食を準備して掃除洗濯怠りなく、夜は性労働に従事して……などという義務を課されることもない。近年のフェミニズムの潮流というのは実に有難いもので、主婦業を年棒換…
トカトントン。久しぶりに読み返した卒論には、ところどころ主査だった井桁先生の鉛筆の書き込みがあって、その中にこの一語があった。トカトントン。はてこれは一体どのような意図をもって書き込まれた一語であったか。そのような疑義は卒論を返却されたば…
『見るまえに跳べ』大江健三郎 ↓『飛ぶのが怖い』エリカ・ジョング 『貧しき人々』ドストエフスキー ↓『成り上がり』矢沢永吉 『何をなすべきか』チェルヌイシェフスキー ↓『にんじん』ルナール
灰色の作業着を着た初老の男が、プラスチック様の赤い大きなものを持って歩道をよたよたと、車道側に向かって横切っていた。その赤い何かは、親子用の自転車の、ハンドルとサドルの間に設置される子供用の椅子のように見えた。奇妙な組み合わせだった。男の…
「自分の築き上げた財産に誇りを持っているのよ、彼らは」 そう言われてはたと動きが止まってしまった。 だからやたらな人には譲りたくないし、そのためにも自分の子供は必要なの。彼女は静かな声で続けて、彼女が静かな声で続けたからこそ、僕はそれが冷徹…
海岸線から垂直に泳いでいるとどこへ向かっているのかどこを泳いでいるのか何をしているのか僕が水なのか水が僕なのかよくわからなくなるようなところがあってでも高い椅子に座った人が笛を鳴らすので僕は岸にUターンする そのうち僕は笛がどうにかしてくれ…
お母さん、ふしぎだったんだお母さんのかおにはいとみたいなのがあるよねおはなの所にさ ぼくにはそれがないんだ こないだ先生がぼくたちのかおとお父さんお母さんのかおはにてるって言ってたよ
剥き出しの滑らかな脚を見やる眼のリレー横顔のドミノ連なりを渡る小波
何ゆえ断頭台はあれほど高くに拵えられておるかと申しますればころりと落ちるひとのくびったまをうんとおおくの眼に映すためにございますえ、吊ったりもいたします
筋肉の一本一本をゆるゆると解いて僕が唇を寄せることをアフォードする
やたらと書いてしまったので、時間と気持ちに余裕のある方だけお読みください。 世間知らずな自分に嫌気が差していた時期に、日経系列のサイトが発行しているNBonlineというメールマガジンを申し込んだ。知らない世界の話、というのはいつでも面白いもので、…
三塁コーチャーはぐるぐると 大きな空を掻き回している
ピストルで 頬打つ拳を外に出し チェーンソーで 鋸引く腕を外に出し 眼鏡でコンタクトで 双眼鏡で望遠鏡で もの見る眼を外に出す エンジンでモーターで 地べた這う足を外に出す ガス検知器で 鼻も外だ ヘッドホンで 耳も外だ マイクで喉も外に出して やはら…
生まれたての 嬰児のような 無造作な 動きを今も