これが答えだ

 愛とは、「権力の相互嵌入と共同注意(joint attention)によって達成される同一化の過程」である。


 ただし、文脈次第では専一に「服従」しか意味しない。(この場合の「愛」に関しては、「イエス・キリスト」というその名がすべてを言い尽くしている。)この、「服従」の「言い換え」でしかない「愛」に対して、断固たる拒否の姿勢を示したのがアルベール・カミュである。そうして書かれたのが『反抗的人間』であった。(たぶん。これから読みます。)


 愛は、片務的なものから双務的なものへと、一方向から双方向のものへと歴史的に変貌しつつある。


 そして、そのように愛を知って初めて理解可能になる二つの概念がある。


 「輪廻」と「不滅」である。


 「輪廻」は、来世の処罰を恐れて現世の罪を避ける人間を生み出すための概念装置ではない。


 「不滅」は、自我を未来にまで拡大しようとする人間の愚かしさの所産ではない。


 その二つの言葉は、ただ愛によって幾度も生まれ直す人間たちの、魂の継承の有様を指し示しているのである。