オチケン

高校時代の同級生に、奇妙な男がいた。
落語研究会に属していた。
顔はヒトラーに似ていて、チョビ髭を生やしたら途端に逮捕されそうな顔をしていた。
そいつが言った。
「落語ってのは、業の肯定なんだよ。」
私は落語をほとんど聴いたことがない。
だから、彼の言葉がどれほど真実を突いているのかはわからない。
わからないはずなのに、
それでも奴の言葉はそれほど的を外してはいないだろうという予感がある。
いま気になっているのは、
アイツは今でも落語をやっているだろうか、ということであり
早すぎる自覚は人をどこに向かわせるのだろうか、ということであり
答えから逆算した問いが
新たな答えを導くことはあるのだろうか、ということであり。


<7月3日 追記>
やってました。