2015-09-06から1日間の記事一覧

大江健三郎/無垢の歌、経験の歌

大江健三郎ほど叩きづらい小説家も珍しいような気がする。 その理由は明白で、大江はとにかく主人公の小説家がひどい目にあってヘマばっかりやって頓珍漢なことを言っては落ち込んだり無力感に苛まれたりしている様子ばかりを描き出すからだ。若い人はだいた…

大江健三郎/さかさまに立つ「雨の木」(2)

読み終えて第一に語ることの難しい小説、という印象が残った。 このブログを書くためにざっと読み返して、書くのはさらに難しくなった。この小説のことは小説自体が一番よく語っているから、わざわざ外から言葉を差し向ける必要があるようには思われない。そ…