さらば週末

木曜の夜の仕事を終えてから妻のマンションへ。
途中にあるゲオで映画を一本借りる。
プライドと偏見』が良作だったジョー・ライトの、『つぐない(Atonement)』。
着いたのが深夜だったので、その日は映画を観ずにお喋りばかりして寝る。
金曜は休み。朝起きると妻は出勤した後だったので、コーヒーを飲みながらしばらくインターネットを楽しむ。
昼はやや雨降りの中を、油そばを食べに出かける。
異常にうまいのだが、一杯1500Kcalくらいあるんじゃなかろうか。
もうちょっと映画が観たかったので、またゲオに寄って更に映画を借りる。
『ボルベール<帰郷>』『ラスト、コーション』『ノーカントリー』(これ借りるの二度目)。
鞄に本を入れてくるのを忘れてしまったので、ブックオフで本を補給。
苅谷剛彦『教育改革の幻想』平川克美『経済成長という病』に、村上春樹訳の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』を購入。
ドトールでまずは『教育改革の幻想』から開く。
親切でとても頭のよい人の書いた本だ。
丁寧にロジックがつないであるので、読んでいるとすらすら頭に入ってくる。
繰り返し書いてくれてあることも多いので、多少いい加減に読み飛ばしてしまったところもちゃんと穴埋めしてくれる。
「なぜわたしは今このことを語ろうとしているのか」という前置きを一つ一つ書いてあって、誤読と批判に対しての牽制もしっかりしてある。
そんな人が、私たちの犯してきた過ちと、その元になったドクサを丁寧に検証している。
途中まで読んで、本とDVDを置きに一旦マンションに帰り、またコーヒー豆と牛乳を買いに出かける。
豆の焙煎を待っていたら、お店の旦那さんがたまたま来ていた業者の人に、
環境保護運動家とやりあったことある?」
と問いかけた。
業者さんは、ありますあります、と答えてから、煙突やらなにやらの話をしていた。
なんか、みんな、大変。
スーパーに入ったらサンダルがつるっと滑ってわたたたとなるも間一髪セーフ、と思ったらまた滑ってうおううおうと両手をブンブン回してなんとか転ばずに済んだ。
歩こうとしたら、サンダルがついてこない。
足元を見てみると、鼻緒がすっぽり抜けてゴム底がぐにゃりと折れ曲がっている。
そのまま行こうかとも思ったが、どうも具合が悪いので修復。
ふんっと気合を入れて鼻緒をゴム底に突き刺したらすっかり元通りになった。
牛乳を買うときにレジの女の子が笑っていたように見えたのは気のせいであろう。
帰宅してコーヒーを淹れ、本を読んでいたら妻が帰ってきた。
『つぐない』を観る。
技術的にも、内容的にも満足のいく映画。
「私が引き離してしまった二人が過ごすはずだった幸福を、私はフィクションとして描いたのです。私はつぐなうために、彼らを幸福にしたのです。」
年老いたブライオニーの台詞が切ない。
よい映画だったので、土曜日に起きてから監督のコメント付きでもう一度観る。
面白かったのは、ブライオニーの心理に関して私とジョー・ライトの見解はものの見事にずれているのに、ブライオニー役の女優さんの演技には彼の「読み」がそれほど反映されていなかった点。
それが終わってから続けて『ボルベール<帰郷>』を流しながらパソコンで遊んでいたら、出かける時間がやってくる。
夜は授業だというのに、途中でニンニクのたっぷり入ったラーメンを食べてしまう。
いつもどおりのおいしさなのだけど、昨日油そばを食べたばかりだったので、ややラーメンへの飢餓感が足りていない感じがある。
二週間空けてしまうと中毒そのものが薄れてしまうし、間を空けないと飢餓感がうまく溜まらない。
やっぱりラーメンは週一くらいにしとこう。
ラーメン屋から池袋駅までの間にあるドトールにまた入って、本の続き。
それから大宮の実家に帰ってシャツを替え、授業準備をしてから塾に行く。
明日の北辰テスト(埼玉県の大規模業者テストで、結果は私立高校の推薦入試に活用されます)を前にしてひたすらブルーになっている生徒を励ますどころか、憂鬱に感染してまた妻のマンションへ。
ひたすらお喋りしていたら復活する。
日曜日は二人でぐーたら。
コーヒー紅茶お茶菓子などをつまみながら私はひたすら本を読み、妻はyoutubeでケンプとルビンシュタインとグレン・グールドの聞き比べをしたりしていた。
『教育改革の幻想』読了。私にしてはだいぶ早いペースで読み終えた。
というか、本を置かせてもらえなかった。
ポストモダンは教育に悪い(特に初等教育では)。」
うすうす感じてはいたけれど、頭のいい人にここまではっきり言い切ってもらえると助かる。
読んでよかった。
晩は白ワインを飲みながら出前のお寿司を食べる。
悶絶するうまさ。
食べ終えて惚けていたらそのまま一時間ほど転寝してしまう。
テレビを観ていた妻の爆笑で目が覚める。
その後『ラスト、コーション』を観る。
傑作。


なんだかいろいろとしあわせだったので、あーちくょうこのまま時間止まってくんねえかなマジで、とか思ってしまった。